乳がんの予後の改善に15分の運動

2017年10月の記事です。

国際誌「キャンサーリサーチ」に発表された論文によれば、

『運動をすることで乳がんの予後が改善する』

という疫学的報告が、医学的な実験により確かめられました。

乳がんの予後改善に15分の運動を

運動で乳がんの予後が改善

これまで、「運動することで乳がんの予後が改善する」

という報告や、統計的に「運動が乳がんの再発を抑制する」

ということが分かっていましたが、何故なのかはわかっていませんでした。

 

2017年9月に国際誌「キャンサーリサーチ」に

発表されたデンマークの研究者チームの論文で、

心拍数が上がり、呼吸が苦しくなるほどの運動を

短時間行うことによりアドレナリンなどのカテコールアミン類の

分泌が促進され、そのことによって乳がんの増殖が抑制される

ということが発表されました。

 

当初の実験においては、

健常女性と乳がん患者の運動前後の血清を採取し、

これを試験管内で培養した乳がん細胞に加え比較してみました。

この実験では、運動後の血清に触れた乳がん細胞の増殖能力が

少しだけ抑えられました。

そこで、次に、

血清に浸した腫瘍細胞をマウスに移植して様子を見ました。

この実験では、運動前の血清に浸した腫瘍は90%も増殖

したのに対して、運動後の血清に浸した腫瘍は、

半分の45%の増殖にとどまったのです。

 

研究者たちは、血清中のどの物質が、がん細胞の増殖を

抑制しているのか追跡しました。

その結果、中~強程度の運動で健常女性でも乳がん患者でも

アドレナリンやノルアドレナリン(医学界ではエピネフリン、ノルエピネフリン)

というホルモンが血中で増加していることが分かりました。

そこで、このホルモンの働きをブロックする物質を

運動後の血清に加えてみたところ、がん細胞の増殖抑制作用が

無くなってしまうことが分かったのです。

このことから、

アドレナリンやノルアドレナリンが、がん細胞の増殖を抑制している

ということが、間接的に証明されました。

 

上記の実験では、ヒトの血清をマウスに移植しての実験でした。

次に研究者たちが考えたのは、

実際、マウス自身が運動したらどうなるだろうか?

ということです。

 

マウスのケージに回し車を設置したものと、

しないもので比較した結果、

マウスに移植した腫瘍の増殖が40~60%抑えられました。

また、マウスにアドレナリンやノルアドレナリンを

直接投与しても同様の結果が得られました。

そして、

このような作用は、中~強程度の運動を15分間程度

行った後のみで見られたのです。

 

たったの15分!心拍数が上がるくらいの運動で、

(心拍数が上がると血行が良くなり作用が全身に及ぶ)

抗がん効果が期待できるのであれば、

やってみない手はありませんね。

 

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