ピロリ菌除去に使われる胃薬で、逆に胃がんリスクが上がる

2017年10月の消化器病学会の主要な雑誌「Gut」による記事です。

胃がんの原因であると言われるピロリ菌の除菌

の際に使われる一部の胃薬を長期服用することで、

かえって胃がんのリスクが高まることが分かりました。

ピロリ菌除菌に使われるネキシウムカプセル

<↑は、慢性腎炎の薬としてタモンも飲んでいる胃薬 これで…>

 

胃がんの原因として知られるヘリコバクター・ピロリ菌。

胃がんのリスクを減らすために行うピロリ菌除去は、

・1種類の「胃酸の分泌を抑える胃薬」(上記写真のもの)

・2種類の抗菌薬

の合計3種類の薬を1日2回、7日間服用します。

最近の除菌の成功率は、90%近くあるそうです。

 

ここで使われる「胃酸の分泌を抑える胃薬」ですが、これは

胃痛や胸焼けの治療にも用いられる「プロトンポンプ阻害薬」(PPI)

と呼ばれる胃酸の分泌を抑える薬で、私も他の薬から胃を守るため、

ここ2年以上、毎朝服用(名前はネキシウムカプセル)しています。

 

通常は、除菌が成功すれば、もう飲みませんが、

ごく一部、除菌後、逆流性食道炎を起こした患者さんには

使われることもあるそうです。

 

そこで、消化器病学会の雑誌「Gut」の記事からです。

 

香港大学教授の梁偉強博士らは、2003~2012年の間で、

香港でピロリ菌除去治療(上記方法による)を受けた成人

63,397人のデータを解析しました。

追跡期間は、平均7.6年で、このうち

3,271人が「プロトンポンプ阻害剤(PPI)」を使用、

21,729人が作用機序の違う「H2受容体拮抗薬」を使用

していました。

追跡期間中に153名の方が胃がんを発症しましたが、

全ての方は、ピロリ菌陰性で、慢性胃炎を伴なっていました。

そこで、データ解析を行うと、

プロトンポンプ阻害剤を使用すると胃がんのリスクが2.44倍となり、

H2受容体拮抗薬の使用による、胃がんのリスクはありませんでした。

さらに、

プロトンポンプ阻害剤の使用期間が長いほどリスクは上昇し、

1年以上で5.04倍、2年以上で6.65倍、3年以上で8.34倍でした。

 

*プロトンポンプ阻害剤の商品名

ネキシウム、パリエット、タケプロン、オメプラールなど

*H2受容体拮抗薬

カイロック、タガメット、シメチジン、ザンタック、ラニチジン、ガスターなど

 

梁博士は、この解析結果についてついて次のように述べています。

1.この研究は、プロトンポンプ阻害剤が胃がんを発症させるという研究ではありません

2.ピロリ菌が無菌状態でのプロトンポンプ阻害剤による胃がんリスクは相対的に高いが、

絶対的なリスクは低い(ピロリ菌がいる状態での胃がんの発症リスクよりはずっと低い)

3.プロトンポンプ阻害剤は、逆流性食道炎や胃炎に対して、最も多く使われるので、

長期的な処方は慎重に行うべきである

 

一方、米スタテン・アイランド大学病院のSherif Andrawes氏は、

プロトンポンプ阻害剤の長期使用による胃がんのリスクの上昇よりも、

使わないことによる消化管の他の部位での出血やがん発症のリスク

の方が、はるかに大きいことも考えておくべきであると述べています。

 

私のような、慢性腎炎の患者さんには、多少胃がんのリスクが高まっても

腎臓を治すことが先決!ということでしょうか。

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