免疫チェック阻害薬(オブジーボ等)の効果は腸内細菌で左右される

2017年11月2日、『Science』オンライン版に掲載された記事です。

オプジーボに代表されるがん免疫療法の一つである「免疫チェックポイント阻害薬」

今回、腸内細菌が、このがん治療薬の効果に大きく影響を与えていることが分かりました。

腸内細菌フローラが免疫チェックポイント阻害薬の効果を決める

 

私たちの腸内には、100種類以上、100兆個とも言われる

腸内細菌が住んでおり、免疫やアレルギーなどの健康面はもちろん、

ダイエットや美容にも深くかかわっています。

 

「アレルギーの9割は腸で治る」や「整腸術」で有名な

腸内フローラの第1人者、藤田紘一郎博士によれば、

培養で確認できる腸内細菌が100種類で、実際には

その2桁上の種類の腸内細菌が小腸には住んでいる。

腸内細菌の中で、単純に悪玉菌を減らせばよいというものではなく、

悪玉菌、善玉菌、日和見菌(状況により善玉、悪玉に変化する菌)の

バランス(腸内フローラ)が重要である。

免疫力をつくる腸内細菌のバランス(腸内フローラ)は、

健康のバロメーターであると述べています。

 

*免疫チェックポイント阻害薬について詳しくは ⇒能動免疫療法のページ

さて、Scienceオンライン版に掲載された2つの記事です。

オプジーボ治療に効果があった患者さんの腸内細菌は

米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター准教授

Jennifer Wargo氏らによる研究結果です。

 

免疫チェックポイント阻害薬は、抗がん剤などとは異なり、

盾を装備して、免疫細胞の攻撃を阻止しているがん細胞の

盾を壊す薬です。

 

その薬の一種「抗PD-1抗体薬」(オプジーボなどが含まれる)

による治療を受けた進行メラノーマの患者さん112人から

採取した糞便について、腸内フローラの多様性や構成について

調べてみました。

 

分析の結果、治療に効果があった患者さんの腸内フローラは

無かった患者さんと比べて多様性に富んでいたことが分かりました。

特に、

効果のあった患者さんの腸内フローラでは、特定の細菌

ルミノコッカス属(セルロースなど食物繊維を分解する細菌)や、

フィーカリバクテリウム属(抗炎症作用を持つ細菌)の細菌の

フローラが高い割合で見られました。

逆に、

効果のなかった患者さんからは、

バクテロイデス属(日和見菌)のフローラが多く見られました。

 

さらに、

効果があった患者さんの糞便を、マウスに移植したところ、

そのマウスも、「抗PD-1抗体薬」に対して良好な反応を

示したそうです。

 

*糞便移植(腸内細菌叢移植)は、欧米を中心に行われている

先進的な治療法です

抗菌薬ががん治療に必要な腸内細菌を殺してしまう

フランス、ギュスターヴ・ルシーがん研究所の

Laurence Zitvogel氏らによる研究結果です。

 

こちらは、「抗PD-1抗体薬」による治療を受けた

肺がん、腎臓がん、膀胱がんの患者さん249名のなかで、

治療前後に抗菌薬を使用した人としなかった人に分けて

調べてみました。

 

分析の結果、

治療の前後に抗菌剤を使用した69名の患者さんは、

使用しなかった患者さんと比べて薬の効き方が弱く、

生存期間も短かったことが分かりました。

そこで、

患者さんの腸内フローラを調べたところ、

効果が認められた患者さんの69%で

アッカーマンシア・ムシニフィラ菌(減量、血糖値改善効果を持つ菌)

が見られたのに対して、効果が見られなかった患者さんでは

この菌の検出割合は34%でした。

 

抗菌剤は、細菌を殺してしまう薬なので、

良くも悪くも腸内フローラを変えてしまうことに

繋がっていると言えるでしょう。

 

 

上記2つの研究から、腸内フローラを調整することで

がんの治療効果を高められる可能性が示唆されましたが、

具体的に、どのような腸内フローラが望ましいのかは

これからの研究に期待されるところとなっています。

 

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