がんゲノム医療とは・自分の遺伝子情報から薬を選ぶ!

2017年12月に発売されたムック本「がんと診断されました 3大治療とゲノム医療」から

最近話題となっている『がんゲノム医療』について解説していきます。

がんゲノム医療は自分の遺伝子で薬を選ぶ

まずは、用語の解説から。

ゲノム医療とは

国立国際医療研究センター病院のHPによると、

ゲノム(genome)は、遺伝子(gene)と、全てを意味する(-ome)

を合わせた造語であり、DNAに含まれる遺伝情報全体のことを言います。

したがって、ゲノム情報は自分自身の体を作るための設計図にあたるものであり、

ゲノム情報を網羅的に調べ、その結果に基づいてより効率的・効果的に

病気の診断と治療などを行うのが『ゲノム医療』です。

近年、ゲノム医科学研究の急速な発展によって、病気と遺伝情報の関わりが

日進月歩で明らかになりつつあります。

 

◎遺伝子検査とは

遺伝子検査は、特定の染色体や遺伝子に何らかの変異が起こっていないかを

確かめる検査です。

遺伝性の疾患を持っているか、などを調べることが目的でしたが、

最近では、被験者とその血縁者の遺伝情報・家系情報を解析する発症前診断や、

がんや生活習慣病などにかかりやすいかどうかの診断など、

予防医学を前提とした検査も多くなされています。

この遺伝子情報をもとに自分に合った化粧品、自分に合った育毛剤を

調合してくれるサービスなどもあります。

 

がんゲノム医療と今までの治療の違いは

今までのがん治療と、ゲノム医療では考え方におおきな違いがあります。

アメリカのオバマ前大統領は演説で、「プレシジョン・メディシン」

という言葉を使いました。

プレシジョン・メディシンとゲノム医療

「プレシジョン・メディシン」は精密医療、個別化医療と訳されますが、

日本においても、「第3期がん対策推進基本計画」において、

上記とほぼ同じ内容の『がんゲノム医療』の推進が目標に掲げられています。

 

『ゲノム医療』とは、「Xという病気」に対して行うものではなく、

「(1人ひとり遺伝子・ゲノムの異なる)AさんのXという病気」に対して行う

個別化医療であるとも言えます。

 

では、がん治療におけるゲノム医療を見てみましょう。

いままでのがん治療法は、胃、大腸、肺など臓器ごと区分けし、

胃がんには胃がん用、大腸がんには大腸がん用の薬剤が探し出され、

用いられてきました。

たくさんの臨床試験により、統計的に見てそのがんにはこの薬剤が効く

と証明されているからです。

しかし、実際にその薬剤を使ってみると、効く患者さんもいれば、

あまり効かなかったという患者さんも出てきます。

統計学的に効くというものが、万人に効くとはかぎらないのです。

90%の人には効いても、10%の人には効かないということもあり得るのです。

 

がんゲノム医療においては、

がん患者さんのがん細胞の遺伝子情報を解析し、

「がんが発生する根源」となっている遺伝子異常が

どの遺伝子で起きているのかを突き止め、

その遺伝子変異に対して効果のある薬剤を使うことにより

より確実に治療を行っていこう、というのが

基本的な考え方となっています。

 

ここで活躍するのが、「次世代シーケンサー」という機器です。

網羅的がん遺伝子検査という、がん発生のもととなった

遺伝子変異を突き止める検査を、正確に、迅速に、

そして低コストで行なえるようになったのも、この

「次世代シーケンサー」という機器が開発されたおかげです。

過去、2003年には、ヒトゲノムの塩基配列の解読に13年という年月と

30億ドルもの費用がかかっていたものが、現在では

1000ドルの費用と数日間という時間で解析ができるようになりました。

 

現時点においては、

検査を受けるのに一定の条件があったり、

この検査を導入している機関が国内で数カ所しかなかったり

ちょっときびしい状態ではありますが、2018年度からは、

この治療法にも大きな変化が見られそうです。

 

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